2022最新版!住宅ローン控除が13年へ。ZEHで変わる?改正の中身を解説!

住宅ローン減税の控除率が1%から0.7%に変わるとどうなるのか?

現在、住宅ローンを組んで、建築中の方や、これから住宅を購入しようとしている方は、この税制の改正によって「恩恵が減るのではないか?」と心配になるかもしれません。

今回は、改正によってどう変わるのか、また、影響を受ける年収のボーダーラインや、「良い部分」と「悪い部分」があるので、最新の情報を解説していきます。

①住宅ローン減税とはなにか?

住宅ローン減税とは、住宅ローンを組んで、住宅を購入した場合、【住宅ローンの残高に対して、一定の比率で、所得税と住民税から控除する】という制度です。

注意注意してほしいのが、「免除」ではなく「控除」だという点です。

控除と免除の違いについては、別のページ「控除」と「免除」の違いで、解説しています。

国は、この制度によって住宅建築や購入を促進し、経済を回したいという狙いがあります。

制度の中身が、2022年の1月から、税制改正によって変更されました。 主な内容は次の通りです。

・控除率が1.0%から、0.7%に引き下げ

・控除期間を10年から13年に引き延ばし

・残高限度額が、4000万円から、3000万円へ(条件あり)

・最大控除額が、400万円から、273万円へ(条件あり)

の、4項目になります。

この4つが変わると、どのくらい影響がでてくるのか?また、何故、改正しなければならなかったのか?詳しく見ていきましょう。

次の章では、それぞれの改正ポイントについて、深堀りして行きたいと思います。

②住宅ローン減税は、何故、改正されたのか?

「改正する必要はないじゃないか」と思うかもしれないですが、制度として少し問題点があったので、改正となりました。

現在の住宅ローンは、金利がとても低い水準で、このような低金利でローンを組んだ場合、「支払う金利」よりも「控除額」の方が上回ってしまうのです。

実質、金利分を「減税」という形で国が肩代わりしていたのですが、その減税分が、元金にも食い込んでいました。

この現象を「逆ザヤ」といい、これでは、現金を多く持っている人に対して、不平等となる為、今回の改正へと至ったわけです。

③控除率の引き下げ…

今回の改正で、控除率が1.0%から0.7%に引き下げられました

控除率とは、住宅ローンの残高に対して、控除される額のパーセンテージを表したもので、所得税から引ききれない分は、住民税から引く事になります。

例えば、前年の12月31日時点で、ローンの残高が3000万円だったら1.0%で30万円が年末調整で戻ってくる仕組みになっていました。

しかし、改正後は0.7%となったので、ローン残高が、3000万円だったら、21万円が戻ってくる額になりました。

単純に考えれば、「控除額が少なくなってしまう」とか、「改悪だ!」と思いますが、収入や借入金額の要件を考えると、影響を受けない人の方が多い計算になります。

逆に、減税期間の延長で、恩恵を受けるなど、良い方向に改正された点もあります。

④控除期間が延長に‼

住宅ローン控除は、35年ローンだからといって、35年間、控除されるわけではありません。

期間は【10年間】と決められていましたが、これが、10年から、13年に延長されました。

実は、2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した人は、特別措置で、控除期間が13年になっています。

これは、消費増税に伴う一時的措置で、今回の場合は、2023年12月31日の入居までという条件が付きました。

※ここで注意したいのが「2023年末までの契約」ではなく、「2023年末までの入居」というのが条件だということです。

この延長によって、条件次第では、改正前より恩恵を受ける人が出てきました。

⑤残高限度額が下がった?

残高限度額というのは、「住宅ローン残高の控除限度額」で、

例えば、今までなら、限度額が4000万(認定住宅は5000万)だったので、4500万のローンを組んだとしても、4000万で計算していましたが(控除額は1%の40万ですね)が、

今回の改正で、限度額が3000万に引き下げられました。

しかし、これには条件が付いていて、必ずしも悪くなったわけではありません。

新築住宅の場合もともとは、長期優良・低炭素住宅が5000万で、それ以外は4000万という限度額でしたが、今回からは、更に細かく分類されて以下のようになりました。

・新築の場合

長期優良、低炭素住宅=【5000万】

ZEH住宅=【4500万】

省エネ基準住宅=【4000万】

その他の住宅=【3000万】

・中古住宅の場合

長期優良、低炭素住宅=【3000万】

ZEH住宅=【3000万】

省エネ基準住宅=【3000万】

その他の住宅=【2000万】

※ただし、2024年からは、更に減額になるのでご注意ください。

実質、減額になったのは【その他の住宅】の部分で、現代の住宅なら、性能評価の申請さえすれば、限度額が4000万円で控除されます。

この際、建築会社にきちんと申請の手続きを踏んでもらわなければいけません。

また、国は省エネ基準の住宅を推し進めている関係で、2024年以降【その他の住宅】に関しては住宅ローン控除を受けられないようにする予定です。

⑥最大控除額の減少

最大控除額とは、13年間トータルの控除額です。

今までは、10年だったので、10年トータルで400万(長期優良住宅は500万)でしたが、今回からは、下記のようになりました。

・新築の場合

長期優良、低炭素住宅=【455万】

ZEH住宅=【409.5万】

省エネ基準住宅=【364万】

その他の住宅=【273万】

・中古住宅の場合

長期優良、低炭素住宅=【210万】

ZEH住宅=【210万】

省エネ基準住宅=【210万】

その他の住宅=【140万】

計算式は、次の通りです。

ローン残高×控除率(0.7%)×13年

ですので、例えば、省エネ基準住宅で、ローン残高が4000万円の場合。

40,000,000×0.007×13=3,640,000

となります。

ここは、残高限度額と比例してくるので、照らし合わせてみてください。

⑦結果的に損をするの?

このような改正が行われた訳ですが、トータル的に損をするかどうかは、ご自身の年収次第という事になります。

所得税額は、年収に対する比率で決まる為、大まかな計算をすると

・年収300万以下の人は、影響無し。

・年収400万の人は、数千円、損をする。

・年収500万~600万の人は、数万円、損をする。

・年収700万以上の人は、数十万円、損をする。

という結果になります。

いかがでしょうか?年収の高い人ほど、控除額は減りますが、無理に限度額いっぱいまでローンを組まなくても、家はできるので、あくまでも

住宅ローンは、借りれる額より、返せる額で設定してください。

⑧さいごに…

2024年以降、更に減額になり、【その他の住宅】という項目が無くなります。

厳密に言うと2023年12月31日までに建築確認を受けるか、登記簿上の建築日が2024年6月30日以前の場合は、限度額2,000万、控除期間10年で、住宅ローン控除を受けられますが、

国は省エネ基準住宅を義務化とする方針なので、(現在は、説明義務にとどまる。)今後、住宅の取得を考えているのであれば、必ず、省エネ基準以上の性能を有する住宅としてください。

また、原材料や設備品の高騰により、住宅価格も高騰しています。

今後の見通しはわかりませんが、無理な住宅建築は避けるようにしてください。

さいごに、しつこいようですが、

住宅ローンは、借りれる額より、返せる額で設定してください。

住宅を購入した後の生活も考えて、しっかりとライフプランを作ってから、購入することをおすすめします。

住宅ローンの審査が不安な方は、一度、専門の機関に相談してみると良いでしょう。

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