フラット35について

住宅ローンを考えたときによく耳にする「フラット35」とはどんなものなのでしょうか?
他の住宅ローンと何が違うのか解説していきます。

①「フラット35」とは?

フラット35とは、住宅金融支援機構が取り扱う長期固定金利の住宅ローンです。住宅金融支援機構は1950年代に国土交通省と財務省の政策金融機関として「住宅金融公庫」として発足しました。

旧住宅金融公庫では、住宅ローンを直接融資していましたが、2007年の4月に一部の民間金融機関による貸付が困難な分野のみに直接融資を限定し、その他の一般的な住宅ローンについては、民間金融機関が長期固定金利の住宅ローンを提供できるよう、資金の融通を支援するため、「独立行政法人 住宅金融支援機構」として生まれ変わりました。(ざっくりいうと、今までは個人に対して直接融資をしていたが、これからは、民間の金融機関に対して資金を提供し、民間の金融機関が代理で個人に融資をする。ということ)

取り扱いは民間の金融機関や、銀行で手続きを行います。

ちなみに、住宅金融支援機構は、住宅ローン債権を証券化し、プロの投資家に投資してもらっています。

また、返済が滞ったとしても住宅金融支援機構が金融機関に保険金を支払う為、金融機関はとりっぱぐれがありません。

②銀行ローンとの違い

銀行系の「住宅ローン」は、各銀行で独自に審査を行うのに対して、「フラット35」は住宅金融支援機構が一括で行う為、民間の金融機関とは審査基準が異なります。例えば、民間では「団体信用生命保険」に加入できる健康状態が必須だったり、「勤続年数」の縛りがありますが、「フラット35」では、そのような制約がないので(団体信用生命保険は任意)、審査に通りやすいといったメリットがあります。また、民間の金融機関は個人の属性(他の借り入れ状況や、過去の返済履歴)などを重点に置いて審査するのに対し、「フラット35」は住宅の性能や質に重点を置いて審査するのも大きな違いです。

また、通常の住宅ローンで必要な「保証料」はかかりませんが、「手数料」は取り扱い金融機関によって異なります。

銀行系のローンは「変動金利」や「期間固定変動金利」なのに対し、フラット35は「全期間固定金利」なので、情勢の変化などによる金利の変更が無い為、毎月同じ額の返済ができます。

銀行よりも審査が甘い分、金利は高めになるので注意しましょう。

③「フラット35」を利用できる条件

「フラット35」を利用するには、いくつかの条件があるので説明していきます。

・申込時の年齢が70歳未満であること。

・一定の収入があること。

・日本国籍をもつ人、または永住権を受けている外国人であること。

・「フラット35」とその他の借入金の合計が、年間返済額の基準を満たしていること。①年収400万未満の人は年収の30%以下、②年収400万以上の人は年収の35%以下。(返済比率)

・申込本人または親族が住むための住宅の建設資金、または、購入資金であること。(耐震改修以外のリフォーム資金には利用できない)

以上の条件を満たせば「フラット35」を利用できます。ほとんどの方が条件に当てはまりますが、一応、ご自分の状況と照らし合わせてみてください。

④「フラット35S」とは?

「フラット35」には最初の10年または5年、金利が安くなる「フラット35S」というものがあります。

「フラット35S」「S」というのは、スペシャルの意味で、「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」に優れた住宅を取得しようとした場合に適用されます。

通常の「フラット35」よりも10年~5年間、金利が0.25%引き下げになり、満たすべき性能基準の厳しさで引き下げの期間が変わってきます。

⑤「フラット35リノベ」とは?

「フラット35S」よりも更に金利が下がるのが「フラット35リノベ」です。

「フラット35」の金利よりも最初の5~10年間0.6%下がります。

条件としては、中古住宅を取得して、「省エネルギー性」「耐震性」などを一定以上向上させる「性能向上リフォーム」をすることです。「フラット35リノベ」の場合、リフォーム工事費も含めた費用も融資対象となります。

既にリフォーム済の中古住宅の取得にも条件付きで融資が受けられます。

ただし、注意しなければいけないのが、①「フラット35S」との併用はできないこと。 ②取り扱い金融機関が限定されていること。です。

⑥「子育て支援型」「地域活性化型」とは?

「子育て支援型」「地域活性化型」は最初の5年間、金利が0.25%引き下げられます。

「フラット35子育て支援型」の条件は、若い子育て世帯が、親との同居または、親元の近くでくらす為の住宅取得に適用されます。

※【若い子育て世帯】の定義は、各自治体によって違うので、お住まい予定の自治体に確認してください。

「フラット35地域活性化型」は、U・I・Jターンによる移住や、コンパクトシティの形成のための居住誘導区域内に移住するために住宅を取得した場合に適用されます。

※「子育て支援型」「地域活性化型」と連携していない自治体もございますので、住宅金融支援機構のHPで確認してください。

この制度は、「フラット35S」との併用もでき、合計0.5%もの金利引き下げになりますが、自治体や取り扱い金融機関によっても異なるので注意が必要です。

これらのような、お得な制度があるにもかかわらず、不動産や住宅の営業マンが知識として知らない人もたくさんいます。決して人任せにはせず、自分でも慎重に考えてみてください。

 ⑦「フラット35」を使うなら

「フラット35」を使って住宅を取得したいとお考えならまずは、提携金融機関に事前審査の申し込みをして、事前審査に移ります。

提携金融機関は「地域の銀行や信用金庫」「ネットローンの会社」「建てたいと思った工務店が提携している」など様々です。

事前審査の際は必要となる書類があるので用意しておきましょう。必要書類は以下のものです。

・過去1年分の源泉徴収票(2~3年分あれば尚良い)

・納税証明書

・身分証明書(免許証等)

・健康保険証

・購入しようとする物件の詳細がわかるもの(見積書等)

・申込書(取り扱い金融機関で用意する)

・他の借入(車等)の情報がわかるもの

・その他金融機関で指定したもの

・【自営業者の方】確定申告書

・【外国人の方】在留カード、または、特別永住者証明書

本審査に必要なもの

・借入申込書

・今回の住宅取得以外の借入内容に関する申出書
(兼 既融資完済に関する念書)

・【給与所得のみの方】特別徴収税額の通知書、住民税納税通知書、住民税課税証明書等の公的収入証明書

・【自営業者の方】納税証明書(所得金額用)および確定申告書(写)等

・建物の工事請負契約書

・建築確認申請書類

・建築確認申請図面

・土地の売買契約書

・土地の登記事項証明書

・土地の地積測量図

・重要事項説明書

・住民票(直近3ヶ月以内)

・身分証明書(免許証等)

・健康保険証

・その他、金融機関で指定したもの

等々、たくさんありますが、金融機関や建築会社、不動産会社などで用意してくれるものもあるので確認しましょう。「フラット35」では、いざ着工となれば、色々な検査があります。その際に必要な書類は建築会社で用意するので、その点についても確認してください。

⑧「フラット35」のメリットまとめ

ここまで色々書いてきましたが、メリットとデメリットをわかりやすくまとめました。

メリットは以下の通りです。

いかがですか?ザっと上げただけでも結構あります。

次にデメリットも見ていきましょう。

 ⑨「フラット35」のデメリットまとめ

「フラット35」にはもちろんデメリットがあります。以下の通りです。

こちらも、結構ありますが、全ての条件を考えて、固定金利が良いとか、健康状態に不安があるなどといった方は検討してみてください。

最後に、マイホームは大きな買い物です。色々夢はあると思いますが、まずはきちんと資金計画をして、無理のない返済計画を立ててください。

常々言っておりますが

住宅ローンは「借りれる額」よりも「毎月返せる額」で設定してください。

ご健闘を祈ります。

ありがとうございました。

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